こんにちは! 松本養鶏場です。
さて、厳しい寒さ(いや、今年はあまり厳しくなかったか……)の冬が終わり、にわとりさんたちの本来の産卵の季節がやってまいりました。
そんな中、断食をするにわとりさんたちがいます。
にわとりさんたち自身はもちろんエサを食べる気満々なのですが、そこはホントに申し訳ないながら、2週間断食をしてもらうのです。
なんのためかというと、若返りのためです。
実は断食をすると、にわとりさんたちは内臓が若返り、よりきれいなたまごを産めるようになるのです。
断食中のにわとりさんたちはメッチャメッチャ羽が抜けます。
断食によって、にわとりさんたちの体の内側と外側の両方で代謝がうながされているのです。
この断食のことを「強制換羽」といいます。
強制換羽って何?
強制換羽(きょうせいかんう)とは、文字通り『強制的に羽を生え換わらせる』ことを意味しています。
養鶏場のにわとりさんたちは、生後1年くらいになると、この断食期間を迎えます。
松本養鶏場では2週間程度の期間をこの強制換羽にあてています。
強制換羽を始めると、にわとりさんにはたまごを産まなくなります。
そりゃそうですよね。
自分の命を守るのに精いっぱいで、そんなモン産んでられるか!ってなりますよね。
でも強制換羽が終わったら、その若返ったチカラでたまごをたくさん産んでくれるようになるのです。
断食中のにわとりさんの様子
松本養鶏場では同い年のにわとりさんが同じケージになるように分けているので、ケージごとに時期を決めて強制換羽を行います。
にわとりさんは、断食を始めて3~4日経つと空腹でイライラしている様子になります。
僕が鶏舎に入ると、「エサよこせ!!!!!!!!!!!!!!」と言わんばかりの雄たけびを上げ、暴れる子もいます。
こちらも泣く泣く、お水をあげて鶏舎を後にします。(お水はあげます。)
でもだんだん力を失ってくるのか、その後はおとなしくしています。
そして、10日ほど経つと、にわとりさんたちの羽がバーっと抜けてくるのです。
ちょっとハゲたにわとりさん。全身全て抜けるわけではないですが、ところどころにハゲができます。
ケージの下は、羽毛でびっしり……。
こうなると、体の新陳代謝が行われている証拠。
にわとりさん、もうちょっとだからね(´・ω・`)
にわとりさんは、2週間くらい物を食べなくても生きていくことができます。(にわとりだからできることです。よい子はまねしないでね!)
ただし、真夏と真冬はその気候に耐えるだけの体力が必要になるので、強制換羽は行いません。
断食のその後の話
そして断食開始から12日程度経ったらようやく強制換羽終了です。
次の日には、お水と、1日1回のエサをあげます。
あまりにおなかが空っぽなので、いきなりたくさん食べさせると命に関わるレベルで体に悪いのです。
次の日にはまたお水だけにして、2日に1回のペースでエサをあげます。
それを3回繰り返し、おなかが慣れてきたら朝と夕の2回エサをあげます。
そこまで来たらもう大丈夫。次の日からは通常通りに食べることができます。
安心してください。抜けた羽も、だんだんと生えそろってきます。
ただ、たまごはまだ産みません。
たまごをまた産むようになるのは、通常通り食べるようになってからさらに1週間程度経った頃です。
そうして、内臓を休ませる期間が終わります。
こうして強制換羽を経て若返ったにわとりさんの産んだたまごは、きれいで食感もプリっとした感じになります。
なんで強制換羽をするのか
強制換羽をするのは、にわとりさんが1歳になった頃です。
このころになると、にわとりさんのたまごを産むチカラが少し弱くなってくるのです。
たまごを1日1回産んでくれるにわとりさん。
内臓が疲れてきて、たまごの殻がもろくなり、割れやすくなります。
殻に点々もようができ、殻の表面もガサガサになります。
殻がもろくなると、お店やお客様の元へ運んでいる最中に割れるようになってしまいます。
実は、たまごの味はあまり変わりません。
でも割れやすいということは、たまごを運べない、つまりお客様の元へお届けできなくなるということになってしまいます。
にわとりさんに長い期間良いたまごを産んでもらうためには、強制換羽は必要なことなのです。